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『県庁おもてなし課』 有川浩/角川

今回の本屋大賞ノミネート作品が発表されたとき、なんで『県庁おもてなし課』が入ってないんだろう?と疑問に思った。「ダ・ヴィンチ」の年間ベスト第一位だったし、有川浩は本屋大賞の常連で、『県庁』は大賞の有力候補のひとつだろうと思っていたので。
だから、有川氏が本屋大賞を辞退していたことが発表されて、ようやく納得できた。

この作品自体は、面白いか面白くないかで言えば、明らかに面白い。しかし、(ファンではないが)有川作品を何作も読んできた者としては「もういい加減ラブコメ的要素はお腹いっぱい」という気分。非効率的な地方の役所が民間からの刺激を受けて成長していくというストーリーは、目新しくはないが、まあ面白い。できれば具体的な仕事のエピソードをもっとたくさん読みたかったのだが、ベタなラブストーリーが複数同時展開していて、なんともこそばゆい。俺ももう若くはないから、こういうラブコメ要素が無駄なものに思えて邪魔くさい。もちろん、著者のファン層は若い女性中心だから、これでいいんだろうけど。もっと迫力ある作品を書く力がある作家だと思うんだけど、ラブコメやってる限りはあまり期待できないな。
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by akuto9 | 2012-02-21 19:25 | 意識朦朧書評

『共喰い』 田中慎弥/文藝春秋3月号

芥川賞W受賞の後は文藝春秋がお買い得!というわけで久々に買う。石原慎太郎のラスト選評もあるし(黒井千次もだけど・・)。でも本当は尾野真千子の記事がいちばん読みたかったりして。

で、『共喰い』。読み終えて最初の感想は、「古いなー」。次の感想は、「懐かしいなー」。多くの人が言及しているように、中上健次をもろに思わせる雰囲気。「性と暴力」というテーマをストレートに表現した作品を久々に読んで妙に懐かしさを感じてしまった。昔ながらの「純文学」を濃厚に感じさせ、文学にとって普遍的なテーマのひとつであろう「性と暴力」を露骨に描いているあたり、「芥川賞」にはふさわしいのでは。時代遅れ、というよりは、変わらないものを書いている、といった感じ。ネット社会に背を向けて暮らしているらしい田中氏だからこそ、この、懐かしさを漂わせながらも決して懐古趣味ではない作品を、現在リアルに発表できたのかもしれない、と思った。
ここからは作品から少し離れた感想。田中氏はあの印象的な記者会見のおかげで、格段に注目度がアップした。あの会見がなかったら、地味すぎて絶対に売れなかったと思う(いま、単行本はベストセラー!)。しかし、あの会見とその後の報道からは、田中氏が性的に放埓な人物であるとはとても思えない。それなのに、作品中のこの過剰な性描写。そのギャップ、というのがまた文学の想像力(妄想力?)の凄みを感じさせて非常に興味深くはあるのだが、単純に「キモい」と思う読者も多いんじゃないかなと思う。それでも、スマートな円城塔氏より、田舎臭い田中氏の方が圧倒的に売れているという状況は、ちょっと痛快でもある。

でも、やっぱ、尾野真千子の「カーネーション」に比べたら、その面白さは足元にも及ばないなー。比べてもしょうがないけど。
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by akuto9 | 2012-02-13 16:05 | 意識朦朧書評

ピンクとグレー

『ピンクとグレー』加藤シゲアキ。『KAGEROU』に比べたら、だいぶましな内容かと思いました。自分がいる芸能界を舞台にしたところが、有利にはたらいたか。まあ『KAGEROU』を教訓にしたことは間違いないでしょう。ジャニーズファン以外の読者にも広まってくれたら、もう少し売り伸ばせるかな。
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by akuto9 | 2012-02-13 15:31 | ふらふら業務日誌