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『ちくま』8月号

『ちくま』8月号で、佐野眞一が痛烈な秋元康批判をしている。彼の指摘するように、美空ひばりの生前最後のシングル『川の流れのように』を作詞したことによって、実力以上に持ち上げられた評価になっているなーと前から感じていた私にとっては痛快な批判だった。ひばりファンらしい佐野氏は『川の〜』を「駄作」とまで断言しているが(私はそこまでは思わないが、深みがあるようで実はあまりない、とは思っていた)、たくさんの名曲を残しているのに、彼女の映像がテレビで流れるときはたいてい『川の〜』が使われるのは残念なことだ。AKBのプロデュースについても「女衒」呼ばわりをしていて「それはちょっと言い過ぎでは…」と引いてしまうような罵倒が続いていて面白い。よくも悪くも佐野眞一節だ。最後に、この佐野氏の文章は、被災地を蔑ろにしてバカ騒ぎを垂れ流すテレビ局への批判であることを付け加えておく。
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by akuto9 | 2011-07-31 08:10 | ふらふら業務日誌

第145回芥川賞・直木賞発表

第145回芥川賞・直木賞が昨日発表されました。芥川賞は該当作なし。直木賞は池井戸潤氏の『下町ロケット』(小学館)。前回はダブル受賞でおおいに盛り上がったので、今回の該当作なしは、売るものが全くないということなので残念だ。池井戸さんは、前から『空飛ぶタイヤ』や『鉄の骨』などをいつか読む本リストに入れておいた作家なので受賞は嬉しいです。面白そうな作品が多いので、既刊も売れるといいなと思います。
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by akuto9 | 2011-07-15 13:48 | ふらふら業務日誌

レココレ『キャンディーズ』

「レコード・コレクターズ」7月号の特集はキャンディーズだった。古いロックの専門誌であるレココレで日本のアイドルを特集するのはかなり異色に感じられるかもしれないが(もちろんスーちゃんの死を受けての特集だ)、30歳を過ぎてからロックとしてのキャンディーズと「出会った」私にとっては、「やっぱりキャンディーズにロックを感じたのは間違いじゃなかったんだ!」と嬉しい再確認だった。本人たちの才能はもちろんだが、プロデュース陣がいかに熱意と創意工夫をもって充実した楽曲を作り上げたか。その結果は、今も全く色褪せない珠玉の楽曲としてシングルのベスト盤を一聴すれば誰にでもわかるだろう。でも、「『年下の男の子』のイントロのドラムの入り方が素晴らしい」とか「『春一番』のギターがかっこよすぎる」と同僚に熱く語っても、誰も理解してくれないのが残念である。「そんなマニアックな聴き方はしません」と言われてしまった…。
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by akuto9 | 2011-07-13 21:59 | 出鱈目音楽話

the milky tangerine 「tuninglife」

柳田久美子をヴォーカルに据えたバンドのメジャーデビューミニアルバム。柳田さんの魅力的な声が、軽快なロックサウンドに乗って、ソロとは一味違う雰囲気を醸し出していて良いです。わりと荒削りっぽい音作りも好きです。

しかし、このアルバムには致命的な欠点があります。全6曲中、最後の2曲が柳田ヴォーカルではなく、作詞作曲の小枝達哉氏のヴォーカルなのです。まあ、ツインヴォーカルバンドだということを知らずに買ってしまった方も悪いんですが、「柳田久美子ヴォーカルのバンドがデビューしたらしい」→「最初の2曲を試聴」→「すごくいい」→「CD買おう」、という流れで作品を手にした私にとっては、最後の2曲で正直、騙されたような気になってしまいました(1曲目にも途中で男声が入るのでそこで怪しむべきだったのかもしれませんが)。もちろん男声ヴォーカルバンドが嫌いとかそういうことを言ってるのではないんだけど、小枝氏のヴォーカルは申し訳ないけど極めて凡庸で魅力に乏しい。それでもそういうヴォーカルのバンドなんだ、というなら仕方ないけど、柳田久美子という非常に優れたヴォーカリストを擁しているのに、それを押しのけてまで6曲しかないうちの3分の1である2曲も自分の歌を収録するというのは、ちょっとどうかと思います。
自分で作った曲を自分で歌いたい、という欲望は当然だしよくわかります。しかし、メジャーで楽曲を発売する以上、クオリティーを気にする必要は当然あり、柳田久美子という天性のヴォーカリストと並べたときに自分の声は圧倒的に劣る、少なくとも作品の流れにそぐわない、ということは認識すべきだと思うのです。楽曲自体はなかなか魅力的だし演奏もかっこいいので、小枝氏のミュージシャンとしての資質をうんぬんする気は全くないのですが、少なくともヴォーカルに関しては冷静で客観的な判断ができていない。ここは、柳田久美子にヴォーカルを任せて、サウンドクリエイトに専念すべきだったのではないでしょうか。ええ、はっきり言いますが結局、「もっと柳田久美子の声を聴かせてくれ!」ということに尽きるんですが・・・。

高校生時代以来のバンド、ということなので、あくまで柳田久美子のバンドではなくthe milky tangerineなんだ!という意気込みはよくわかります。しかし、東京事変がバンドであってもあくまで椎名林檎がフロントであるのはゆるぎないのと同じように、才能あるものを前面に出すべきです。その昔、CCRはジョン・フォガティーが作詞作曲、リードヴォーカル、リードギターの大活躍で大ヒットを飛ばしますが、ジョン一人に評価が偏ることにメンバーは不満を感じ、ラストアルバムでは3人が均等に楽曲を発表して歌いました。そのアルバムの評価は当然ながらファンの間でも低い。CCRが、兄弟・友人バンドであり長い下積み時代の末にブレイクしたこを考えると、他のメンバーの気持ちもわからないでもないですが、そこにはやはり「作品のクオリティー」と「自分自身の才能」を客観的に判断する能力が欠けていたとしか思えないのです。

えー、色々批判めいたことをたくさん書きましたが、次作ではぜひ柳田さんを全面ヴォーカルに立てたアルバムにしてください。楽曲はすごく好きなので、応援しています(←本当です)。
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by akuto9 | 2011-07-01 09:48 | 出鱈目音楽話