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『神様のカルテ』 夏川草介/小学館

第十回小学館文庫小説賞受賞の新人デビュー作ですが、書店員の推薦もあり、なにやらベストセラーになっています。『神様のカルテ』なんてぬる〜いタイトルのせいで胡散臭い奇跡の感動物語かと思い敬遠してたんですが、若向けの装丁に反して最近年配の方がよく買っていかれるのでちょっと興味を持ち、読んでみました。
著者は現役の地方医師ということですが、その経験に基づいているであろう地域医療の現実を下敷きにした人間ドラマは、「いい話系」ではあるもののリアルな面もあり、なかなか好感が持てました。文学かぶれの主人公のわざとらしい古めかしい言い回しも意外と鼻につかず。海堂尊をライトにして森見登美彦テイストで仕上げてみました、みたいな感じでしょうか。疲れた休日に、一日で読めちゃうちょっといい話を、という方にはおすすめかも。幅広い年齢層に売れてるのも納得できました。それにしても、『神様のカルテ』なんてイマイチすぎるタイトルはどうにかならなかったんでしょうか。
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by akuto9 | 2009-11-28 19:04 | 意識朦朧書評

『SOSの猿』 伊坂幸太郎/中央公論新社

漫画家・五十嵐大介との出版社の垣根を越えたコラボ/競作ということで、いくつかのアイデアを共有して別々の物語世界を構築するという試み。五十嵐作品『SARU』(小学館)の刊行が来年に延びてしまってるので、それを読むまで全体的な感想は言えないなーという感じなのですが…。伊坂氏側の『SOSの猿』は、二つの話が最後に繋がっていく伊坂氏お得意の展開に『あるキング』的なファンタジックな要素が入って、物語が一体どこに向かっているのかわからない不安と面白さがありました。ただ、共有アイデアである「孫悟空」と「エクソシスト」が五十嵐氏側から出されたものらしいので、そのせいか、この要素がうまく消化できてなく、いつもよりぎくしゃくした印象も受けました。エンターテインメントとしての及第点には十分達しているとは思いますが、多くを期待される伊坂作品としては少し物足りない感じです。勝手な期待ですみません…。ともあれ『SARU』は読まなきゃ駄目だなーと思います。
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by akuto9 | 2009-11-27 11:05 | 意識朦朧書評

『八朔の雪』高田郁/ハルキ文庫

Rー40本屋さん大賞文庫部門受賞、というウリでたいそう売れているので読んでみました。普段全く時代小説は読まないんですが、他の本屋さんが強く薦めるのなら読んでみようかと思いまして。
料理人少女の成長物語(チャングムを薄めに薄めたような)、美味しそうな料理と蘊蓄(ちょっと美味しんぼを思いださせるような)、そして江戸の人情。ドラマ化すればさぞかし人気が出るだろうなと思いました(絶対ドラマ化の話は進んでいるはず)。マンガにしても面白そうだと思ったら、既にマンガ化されてるみたいですね。
ただし「小説」としてこの作品を見た場合、あまりに類型的な登場人物たち、いい人ばかりで都合のよすぎる展開、など物語に陰影がなさすぎて読みごたえ全然なし。まるで、最初にドラマやマンガがあって、この小説がそのノベライズ、みたいな感じです。著者はマンガ原作者出身のようなので、妙に納得してしまいましたが、ビジュアル化されてこそ魅力の増す物語なのではないかと思いました。
そんなわけで「俺はこんな都合のいい小説を積極的に売る気には全然ならん!」と、わめいていたら後輩に、「今はこういう世の中だから、せめて小説の中だけでも、いい人がたくさん出てくるいい話をみんな読みたがってるんですよ。悪徳さんみたいに嫌な話が好きなのが少数派なんだから、売上伸ばすためにちゃんとこういういい話を売らなきゃ駄目なんですよ!」とたしなめられてしまいました。
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by akuto9 | 2009-11-19 13:50 | 意識朦朧書評

サザエさんのからくりを知る

昨晩7歳の息子と実写ドラマの『サザエさん』を見ていた。馴染みのアニメの登場人物を生身の人間が演じているのが面白いらしく、とても楽しんで見ていたようだが、ふと、「ん?あれ?」と言って考えはじめた。「ワカメ、カツオ、タラ、イクラ……って、ぜんぶ海の食べ物じゃないか!」新しい発見に興奮気味の息子の脇で私はポツリと「今まで知らなかったのか…」。知らないことがたくさんあるってことは、新しい発見がたくさんあるってことで、子どもっていいなーと思ったのだった。
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by akuto9 | 2009-11-16 22:54 | 老体育児記

ダイエット本の興亡

なかなか勢いが止まらない『巻くだけダイエット』(幻冬舎)ですが、最初の頃に購入した方はそろそろ効果が出始めてる頃でしょうか?それとも…。書店に勤めて十数年、さまざまなダイエット本の興亡を見てきましたが、いつまでも売れつづけるダイエット法はなく、必ずブームは終息する。新しいダイエット本が売れる期間はどのくらいなのか、これからちょっと研究してみようかと思います。個人的には、忘れた頃に必ず大ヒットが生まれるダイエット本の世界というのがなかなか好きです。これもまた一定の周期でもあるものなのか、興味あるところ。
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by akuto9 | 2009-11-15 20:06 | ふらふら業務日誌

子のたまわく

遅番だったので午前中家でぼんやり「とくダネ!」を見ていたら、こどもたちに論語を読ませるのが流行っているという特集をやってて、『こども論語塾』(明治書院)を紹介していた。そういえばテレビでやるって案内来てたけど今日だったのかと出勤してみると、平積みしてあった分が既に売り切れていた。テレビを見ていた私は「こういうのって親の自己満足だよなー」とか「論語読むべきなのは大人の方じゃないか」なんて否定的に見ていたのだが、あれを見て子供に論語を読ませてみようと素直に思う大人がたくさんいるのだということに驚きました。ええ、もちろん論語は素晴らしい書物だし、昔のいいとこの子供は覚えさせられたんだろうけど、今どきの子供が意味もよくわからずに「巧言令色、鮮し仁」とか言ってるのはなんか嫌だな。論語読みの論語知らずにならないよう願うばかりです。
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by akuto9 | 2009-11-11 00:41 | ふらふら業務日誌

みんなで持とう、サンローラン

この週末、宝島社のイヴ・サンローランのムックがバカ売れでした。きっと全国的な現象でしょう。宝島のブランドムックは今年の出版界を代表するものの一つだと思いますが、ここに極まれりといった感ありの売れでした。いつも思うのですが、有名ブランドのロゴがついているとはいえ、こんなにたくさんの人が安く買って持ってるバッグを持ち歩いてファッション的にOKなのでしょうか?私のような超ファッション音痴でも「あ、あのバッグは宝島のだ」とわかってしまうような状況でいいのかな。それともブランド品を安く入手した、ということで満足して、実際には使わない人が多いのか、とか。私には非常に不思議な現象に思えるので、購入後の実際の使用率など知りたいところです。ともあれ、「ブランドってなんなんだろう?」という根本的なことを考えずにいられない現象を引き起こしている宝島社はたいしたもんです。
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by akuto9 | 2009-11-09 18:37 | ふらふら業務日誌

誤った理解によるオズの魔法使い

息子が小学校の学芸会で『オズの魔法使い』をやるというので見に行った。四歳の娘も連れて行ったのだが、行きがてら「『オズの魔法使い』って、どんな話か知ってる?」と聞いてみたところ、「知ってるよ!」と自信たっぷりに言った。「あのさ、シンデレラがおそうじをしていたら、悪いおばあさんがやってきてさ、リンゴをくれてさ、食べたら死んじゃったんだよ!」。なにもかもが間違っている。
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by akuto9 | 2009-11-08 19:23 | 老体育児記

ノンタン読んで天才に!

最近やけにノンタンの絵本が売れてるなー、ノンタンは面白いからずっと定番だよなーとのん気につぶやいていたら、児童書担当に「何言ってるんですか。先週の『エチカの鏡』で紹介されたからですよ」と言われてしまった。出版社からの案内では「天才兄弟を育てた女性が、子育てに読み聞かせていた本として『ノンタンシリーズ』が取り上げられ大反響!!」だそうで。ふーん。確かにノンタンは子供に読んであげるのに楽しくていい絵本だけど、そういう早期教育的な流れで紹介されて売れちゃうのはなんか嫌な感じだなーと思ってしまう。ノンタンを読んで天才少年に、とか本気で思って買ってるわけじゃないだろうけど、絵本は絵本として純粋に子供と楽しむためだけにあってほしいなーと思うのでした。それにしても「エチカの鏡」は「金スマ」と並んで、書籍販売に影響力のある番組になりましたね。見たことないけど。
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by akuto9 | 2009-11-07 00:43 | ふらふら業務日誌

大往生

先日レヴィ=ストロース氏がお亡くなりになったというニュースを聞いてたいそう驚いた。なにが驚いたって、あまりに大物なのでとっくに歴史上の人物になっていると思っていたもので…。あれだけの業績を残して100年の人生を全うしたとは、すごいです。
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by akuto9 | 2009-11-05 19:39 | ふらふら業務日誌