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『猫を抱いて象と泳ぐ』小川洋子

文藝春秋。あの『博士の愛した数式』と肩を並べる傑作。ふとしたことからチェスの魅力にとりつかれた少年。チェスの天才的な才能を持った彼、しかし彼が対局する姿を見たものはほとんどいない。それは…。意外な展開を見せる物語、静かで透明感のある小川ワールド、これはもう完璧な職人仕事だなーと感服いたしました。小川さんは少年の物語を魅力的に仕上げる名手ですね(少女の物語だった『ミーナの行進』はあまり好きになれなかった)。チェスのルールを知らなくても問題なし。心の片隅にいつまでも残り続けそうな愛すべき物語。
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by akuto9 | 2009-02-28 19:58 | 意識朦朧書評

夜、彼女は暗い部屋で

夜、気がつくと三歳の娘が見当たらないので部屋を探してみると、暗いテーブルの下でひっそりと、耳かきの棒で電卓のボタンを夢中になって押していた。全く予想できない行動をとる娘なので油断できない。
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by akuto9 | 2009-02-27 22:52 | 老体育児記

『テンペスト』池上永一/角川

噂通り、読み始めたらやめられないノンストップ大河エンタテインメントでした。が、前半が韓国ドラマ『チャングム』に似ているので「なんか見たことある話だなー」と思ってしまいました。素性を隠したヒロインが活躍するアジア宮廷物語、という基本設定が似てるので仕方ないかもしれませんが…。あと後半妙にノリが軽くなって、身分の高い女性が「うっそ~」とか言ったりするのもどうかと…。色々突っ込み所はありますが、物語として抜群に面白いのは間違いないです。琉球版チャングムとして大河ドラマにしたら、かなり面白そうです。
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by akuto9 | 2009-02-26 19:01 | 意識朦朧書評

『少女』湊かなえ/早川書房

昨年『告白』で鮮烈なデビューを飾った湊かなえ氏の第二作。冒頭の遺書は誰のものなのか?二人の女子高生の視点から交互に語られる物語は前作同様ラストに向かうにつれてスリリングに展開し、驚きの結末に。著者の意地悪な視点は今回も冴えているが、少女というもともと意地悪な季節の子たちが主役のためか、前作よりも自然な感じ。大人に振り回されてしまう子供たちのサバイバル物語でもあり、意外なことに結構いい感じの現代的な友情物語でもある。こういう形の友情物語もあるのか!と非常に新鮮に感じました。次作も楽しみです。
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by akuto9 | 2009-02-18 22:56 | 意識朦朧書評

目覚めよ!中川

中川昭一氏の著書『飛翔する日本』(講談社インターナショナル)がまだ棚に残っていたので、返品前の最後の晴舞台として棚のいい場所に面出ししてあげた。本人は飛翔できずに墜落してしまいましたが…。この本の序章のタイトルが「目覚めよ!日本」だったので思わず吹き出してしまいました。文字通り目覚めるべきは自分だったというオチで…。
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by akuto9 | 2009-02-17 22:54 | ふらふら業務日誌

『新世界より』貴志祐介/講談社

『SFが読みたい!2009』(早川)の国内1位に選ばれた、少年少女SF冒険ファンタジー。上下巻たっぷりと未来世界の冒険物語を堪能でき、ラストで明らかになる真相も凄まじくて面白かったけど、なぜか新鮮味は感じられませんでした。なんというか『ハリー・ポッター』『AKIRA』『ナウシカ』『ドラゴンヘッド』など既存の作品をごった煮にしたような印象を受けたので。現在の秩序が一度崩壊した後の未来世界、という設定は多いので既視感をおぼえてしまったのかも。それでも、ラストの驚愕の真相は一読の価値あり。鬼才です。
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by akuto9 | 2009-02-15 23:33 | 意識朦朧書評

ものごと

通勤途中の小さな交差点で、別々の道から歩いて来た男子中学生がはち合わせた。知り合いらしい二人のうちの一人が「おう!お前何で今日はこっちの道から来てんの?」と尋ねると、もう一人が「…考えることがあったから…」と答えた。「考えるって、何を?」「……ものごと…」。物事を深く考える中学生よ、これからの人生でたくさん本を読んでくれたまえ。
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by akuto9 | 2009-02-12 19:54 | ふらふら業務日誌

6-5=1

テレビの美容番組で紹介していた、5歳若返る顔の体操みたいなのをやっていた息子が、体操後に気付いた。「どうしよう!僕はいま6歳だから、5歳若返ったら1歳になっちゃうよ!」。本当に焦ってるようだったので面白かったが、5歳若くなると1歳なんて、こいつは本当に若くて人生は始まったばかりなんだな、と少し感慨深かった。
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by akuto9 | 2009-02-10 22:46 | 老体育児記

『ジョーカー・ゲーム』柳広司

スパイ小説は苦手だと思い込んでいたけど、これはめちゃくちゃ面白かった。戦時中のスパイ養成学校のメンバーが出る短篇集で、それぞれが独立した話なので出来のいいミステリをたくさん読んだような充実感。スパイという仕事の孤独さが理解できる一方で、当のスパイ本人達は淡々と任務をゲームのようにこなしているため、彼等の孤独に感情移入して読むことはない。そのクールな距離感がこの作品の一番の魅力ではないか。「何かにとらわれて生きることは容易だ。だが、それは自分の目で世界を見る責任を放棄することだ」という言葉に共感。
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by akuto9 | 2009-02-09 13:29 | 意識朦朧書評

漢字で儲ける

「バカ売れ」という表現がありますが、実際この言葉にふさわしい売れ行きを見せる本は一年に数点程度でしょう。で、年末からずっとまさに「バカ売れ」しているのが『読めそうで読めない間違いやすい漢字』(二見書房)。似たような本はこれまでにもいくつもあったはずですが、昨今の漢字ブームの波にうまく乗っての大ヒット。いやはや何が当たるかわからないものです。それにしてもの漢字ブーム。漢字検定協会が儲けすぎで指導されたようですが、漢字の勉強がブームになるのって考えてみると凄いことだよなーと思いました。
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by akuto9 | 2009-02-04 11:45 | ふらふら業務日誌