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『ボーナス・トラック』 越谷オサム  (新潮社)

越谷オサム氏2004年の日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作。引き逃げで死亡した被害者の霊と第一発見者が仲良くなり、犯人を探す、という異色の友情物語。霊は発見者の職場であるハンバーガー店に付いてきて仕事のアドバイスをしたり(ここが一番面白かった)恋をしたりする。最初から最後までユーモアに満ちており非常に好感が持てる作品。楽しい物語の中に、ヤンキー車の乱暴な運転に対する敵意がビンビン伝わってきておおいに共感できました。「ボーナス・トラック」というタイトルに込められた意味も、すごく良いです。
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by akuto9 | 2008-05-30 23:04 | 意識朦朧書評

『東京島』 桐野夏生 (新潮社)

桐野氏の新刊には毎年度肝を抜かれっぱなしだが、今年も凄い。桐野版『蝿の王』とでも言うべきか。難破して無人島に漂着した人々。内輪揉めや日本人と中国人の対立など色々起こるが、最も挑発的な設定が男性数十人の中で女性が一人だけということ。これが若い美少女なら別の話になろうものだが、40代後半の中年女性であるところがいかにも著者らしい。前作『メタボラ』に続いて、この話もまた困難な状況下でのサバイバルの物語である。果たしてこの女性の運命は?そして島から脱出できるのは誰か?そんなに長くないので是非読んで下さい。
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by akuto9 | 2008-05-27 17:09 | 意識朦朧書評

驚異の禁止事項

午前中に子供達を公園で放し飼いにしていると、近所の保育園の園児達が集団で散歩に来た。集まって園児達に注意事項を伝える保育士。「みんなに守ってほしいお約束がありまーす」。何かなーと思い聞いていると「まず最初に、遊具では遊ばないことー」。えぇっ!こんなに面白そうな遊具がたくさんある公園に来ておいて使うなとは。先生、酷っすよ…。まあ、遊具を使うと怪我をする確率が高くなるんだろうけど。あるいは一般客への気遣いか。それでも園児達は鳩を追い回したり穴を掘ったりして楽しく遊んでいた。子供は遊びの天才だ。
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by akuto9 | 2008-05-26 23:04 | 老体育児記

等価

外食をしようと思い、6歳の息子に「たまには寿司でも食うか?それともマクドナルドがいい?」と尋ねると、「えー、悩むなー。ど・っ・ち・に・し・よ・う・か・な・て・ん・の・か・み・さ・ま・の・ゆ・う・と・お・り…」とやりはじめた。本気で悩んでいる様子。子供にとっては寿司もマックも「好きな食べ物」という点で等しい価値を持っているんだな。ちょっと感心した。で、結局、妻と息子が寿司。私と2歳の娘がマック…。
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by akuto9 | 2008-05-24 16:59 | 老体育児記

おかず

『おつまみ横丁~すぐにおいしい酒の肴185』(池田書店)、『日本のおかず』(幻冬舎)という2冊の料理本が大変よく売れています。料理本が2冊もロングでベストに入ってくることはあまりないので、なかなか面白い現象です。両書とも写真がきれいで、それが売れている一因でもあると思いますが、私には上品すぎて実はあまり食欲をそそられません。小林ケンタロウ氏の『ドカンと、うまいつまみ』(文化出版局)とかの方が「食いてえ!今すぐ仕事終わりにしてビール飲みてえ!」と思えます。料理本の料理を思いっきり食べてみたいものです
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by akuto9 | 2008-05-24 00:11 | ふらふら業務日誌

ロックガール

2歳の娘が機嫌悪くあまりにぐずるので、「そんなにぐずってんなら、レディオヘッドでも聴いてろ!」とCDウォークマンのイヤホンを渡し、アルバム『ザ・ベンズ』収録の「マイ・アイアン・ラング」を聴かせたところ、真剣な表情で一曲まるまる聴き通し、曲が終わるとニヤリと笑って私にイヤホンを返した。その後は超機嫌よくなり、鼻唄歌いながらピョンピョン飛び跳ねていた。なかなか将来が楽しみな娘である。
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by akuto9 | 2008-05-22 20:12 | 老体育児記

『聖域』 大倉崇裕 (東京創元社)

山岳ミステリ。雪山で滑落した親友の死に疑問を持った主人公が、隠された謎に迫っていく。そして…。著者の登山経験が生かされ、山のシーンが読みごたえあり。犯行の背景も登山界ならではのもので納得でき、新しい山岳小説の秀作と言っていいと思う。友情と再生の青春物語でもある。ただし、個人的には早い段階で犯人がわかってしまったのがちょっと残念。
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by akuto9 | 2008-05-21 19:52 | 意識朦朧書評

大泉効果

『ぴあ』『AERA』『CUT』『ダ・ヴィンチ』等々、雑誌の表紙に登場しまくって大活躍の大泉洋氏。彼が表紙になると、その雑誌の売れ行きが伸びます。少なくとも、うちの店では。美人女優やイケメン俳優以上の効果があるような気も。たいしたもんです。「水曜どうでしょう」時代からの古いファンは、「まったく人気者になっちゃって…」と少し寂しい思いをしてるかもしれませんね。
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by akuto9 | 2008-05-20 19:29 | ふらふら業務日誌

蟹工船

プロレタリア文学の代表作、小林多喜二『蟹工船』が今読まれている、という記事が朝日新聞他で紹介され、しばらく売り切れており、ようやく重版分が入荷。私も20代の頃に読んで感銘を受けた作品ではありますが、まさか数十冊単位で平積みする日が来ようとは…。昨年、桐野夏生氏の『メタボラ』で劣悪な労働環境に置かれた若者の話を読んだ時に『蟹工船』を少し思い出したりしたんですが、昭和4年の作品がリアルに感じられるというのも凄いですね。名作は時代を越えて蘇る、といったありがちなフレーズを本気で使いたくなる現象です。
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by akuto9 | 2008-05-17 19:03 | ふらふら業務日誌

第21回山本周五郎賞発表

伊坂幸太郎氏の『ゴールデンスランバー』(新潮社)と今野敏氏の『果断』(新潮社)が第21回山本周五郎賞に選ばれました。毎年この賞の選眼の良さを褒めてますが、今回も、快進撃を続けている伊坂氏と、文庫が売れまくってノリノリの今野氏の受賞で書店にとっては嬉しいかぎり。本屋大賞のお祭りも終わり売場がネタ切れ気味だったので、活きのいい作家の受賞は助かります。三島由紀夫賞は田中慎也氏の『切れた鎖』(新潮社)。史上初の川端康成賞とのダブル受賞。芥川賞をとる日も近いか。ところで全部新潮社絡みなのは偶然か否か…。
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by akuto9 | 2008-05-17 00:38 | ふらふら業務日誌