<   2007年 07月 ( 16 )   > この月の画像一覧

同時発売

『となりの801ちゃん 2』(宙出版)と『腐女子彼女。パート2』(エンターブレイン)が同時に入荷してきたが、きっと出版社間でしめしあわせてのことなんだろう。どっちから話を持ち掛けたのかとか、裏のやり取りを聞いてみたいところ。実際に相乗効果があるのかはまだわからないけど、新刊台に並べてアピールしやすいし、「どっちも2冊目が出た」と覚えやすいので書店的にも良いと思う。
[PR]
by akuto9 | 2007-07-31 23:41 | ふらふら業務日誌

依頼

昨日参議院選挙の投票に行くと、かなり高齢の体が不自由なおばあさんが車椅子で投票に来ていた。自分一人では鉛筆をうまく持てないらしく、比例区の投票用紙記入場で選挙委員の人に手伝ってもらっていた。その時、横にいた私に聞こえてきた会話。大声で「公明党に入れてくれって頼まれたもんでねー」選挙委員「じゃあ、公明党でいいんですね?」前より大声で「とにかく公明党に入れてくれって頼まれたもんでねー!」。存在することは承知していた現象ではあるが、公の投票現場でこれほどわかりやすい形で顕在化した例は珍しいのでは。
[PR]
by akuto9 | 2007-07-30 19:33

『ぼくのミステリ作法』 赤川次郎 (角川文庫)版元品切

幻冬舎『ポンツーン』連載の「ミステリーの書き方」が面白い。毎回別の作家が自分流の創作の秘密を教えてくれるのだが、7月号は赤川次郎氏。今回も面白かったが、記事はインタビューとだいぶ前に出た本書をまとめたものだということなので早速読んでみる。前半は創作とミステリについての軽いエッセイ。後半は過去の自分の短篇に脚注をつけて解説をしていて、これが面白い。例えば、

「この時点では、まだ謎も考え出していない」
「こういう囮を使った作戦は、大体苦し紛れに使うことが多い」
「短編の中で人間関係を説明するには、こういう警官の口から語らせるのが楽だ。それに、あくまで「警官の考え」だから、後で食い違いが出ても、矛盾にならない」
「この文章、伏線のつもりで、後から加えたものである」
「どの登場人物にも少し怪しいところを持たせておくと、解決のとき楽である」など。

(締め切りに追われ?)書きながら考えていく過程が垣間見れてとても面白い。欲を言えば、脚注が少ないので、もっとたくさんの例を読みたかった。
[PR]
by akuto9 | 2007-07-29 16:16 | 意識朦朧書評

怪談

それにしても日販のシステム障害にはまいりましたね。業界外の方のために説明しておくと、国内最大手取次(問屋)の日販で先週頭からシステム障害が発生し、なにやらよくわからんが注文の商品が出荷できない状況が続いていたのだ。補充品だけならまだしも、重要な客注品まで!書店にとってこれほど恐ろしいことがあろうか…。ようやく着荷し始めて少しほっとしたけど。データ注文時代の恐怖を味わった一週間。恐ろしや恐ろしや。持ち込み試験の教科書が間に合わなかったあの学生さんはどうなったろうか。でも教科書は早めに買おうぜ。
[PR]
by akuto9 | 2007-07-24 22:40 | ふらふら業務日誌

脅迫

5歳の息子に「お父さんの恥ずかしい秘密をコンピューターで調べたぞ!」と脅された。
[PR]
by akuto9 | 2007-07-22 22:40 | 老体育児記

無題

5歳の息子に「ちっぽけなお父さん!」と言われた。
[PR]
by akuto9 | 2007-07-21 23:06 | 老体育児記

ボンボン休刊

 『コミックボンボン』(講談社)が12月号で休刊とのこと。まあ、売れてなかったからなー、とあらためて当店の売れ数を確認してみると、予想以上に、悲しいほど売れてなかった。ライバル誌『コロコロコミック』(小学館)に、うちの店では実に40倍もの大差をつけられて完敗。これでは休刊もやむなし(コロコロの強さを称えるべきでもあろうが・・・)。『ゲゲゲの鬼太郎』でもち直していたような気がしたが、完全に気のせいだった。
 小学館の売上高が戦後初めてライバルの講談社を抜いたというニュースが先日流れ、小学館女性誌の好調をひきあいに語られることが多いようだが、『ボンボン』休刊と『コロコロ』圧勝も両社の現状を象徴しているような気がする。
[PR]
by akuto9 | 2007-07-20 12:23 | ふらふら業務日誌

『星新一  一〇〇一話をつくった人』 最相葉月 (新潮社)

 先日読了し当欄に書こうとしていた矢先に講談社ノンフィクション賞受賞のニュース。受賞も当然の傑作評伝。星新一ファンはもちろん、あまり読んだことのない人にも強力におすすめしたい、全編これ読みどころの逸品。戦前の大製薬会社星製薬の御曹司としての少年時代。父の死後会社整理に追われ「今日あたり死のうかな」と思うほどの苦悩の日々。それが「空飛ぶ円盤研究会」に参加したことをきっかけにSF作家へと転身していくところが実に面白い(この研究会には三島由紀夫や石原慎太郎もいたそうだ)。
 日本SFの黎明期、SFは探偵小説の軒下で紹介され、江戸川乱歩に才能を見出だされた星。当時SFはエンターテインメント性よりも「新しい文学」のスタイルと考えられていたようで、その旗手が星と安部公房だった。安部が芥川賞だけでなくノーベル賞候補といわれるほど評価されていくのに対し、星は直木賞に落選、その後も「子供向けの作家」と認知されてしまったせいか、ロングセラー作家ではあるが信じられないほど賞に縁遠かった。星のショートショートがあまりに個性的なスタイルだったせいか、周りは星が賞など超越した存在と思っていたようだが、本人は文学的な評価をとても求めていた。後輩でSFの盟友でもある筒井康隆がどんどん文学的に評価されていき、筒井のパーティーでついに毒づいてしまう星の姿がとても痛々しい。
 私は星新一というショートショートの名手がサラサラと傑作を書き続けて来たものと思い込んでいたが、実際は長年睡眠薬がなければ眠れないほど苦しい血の滲むような努力によって生み出されたものだったことを知る。しかも当時の原稿料は枚数換算で、ショートショートはいくら書いても金にならない。一つのネタでいくらでも枚数を水増しできるところ、星は無駄を完全に削ぎ落とした作品で勝負し続けたのだから、まさに身を削るような創作姿勢だ。それを踏まえて彼の作品をあらためてじっくり読み返してみると、淡々とした語り口の短い一つ一つの物語の裏に「星新一」その人の姿が感じられ、これまでとは全く違う印象を持った。星自身はSF仲間や出版業界とつきあいをよくもつ人物であったようだが、作品そのものがデビュー時からあまりに独特で誰にも似ていないせいで、どうしたって「孤高」である。私の星へのイメージは本書のおかげで「親しみやすい短篇作家」から「孤高の天才作家」へと大きく変わったのであった。
 書店員なら誰でも星の作品が多くの読者に愛され続けていることを知っている。これだけ愛され、個性的で優れた作家に賞を与えることのできなかった直木賞(年に2回もあるのに!)が大衆小説賞の最高峰として君臨し続けているのはどうにも納得できない。

「なんでぼくには直木賞くれなかったんだろうなあ」という星のつぶやきはあまりにも痛切に響く。
間違いなく今年のベスト本の一つ。
[PR]
by akuto9 | 2007-07-19 11:59 | 意識朦朧書評

第137回芥川賞・直木賞発表!

芥川賞は諏訪哲史『アサッテの人』(群像六月号)。とりあえず売る物が何もないので八月発売の『文藝春秋』待ち。直木賞は松井今朝子『吉原手引草』(幻冬舎)。時代小説人気が凄い今の時期にタイムリーな受賞で売れ行きも期待できそう。松井さん幻冬舎さんおめでとうございます!あとはS社のようなセコい重版じゃなく、幻冬舎らしく素早くガツンと刷ってください。お得意の全面広告なんてどうでしょう?期待してますよ!
[PR]
by akuto9 | 2007-07-17 23:34 | ふらふら業務日誌

『赤朽葉家の伝説』 桜庭一樹 (東京創元社)

噂に違わぬ面白さ。製鉄業を営む鳥取の旧家の女三代の物語。戦後の歴史を背景にした、祖母・母・娘それぞれの世代の特徴がうまく書き分けられていて読みごたえ十分。「女にとって自由って、いったい、なんだ」という台詞に象徴されるように、やはり女性の物語であり、「ここは東京のはきだめじゃない」という言葉に見れるように「地方」の物語でもある。舞台となる紅緑村の描写が強烈な印象を残す。特に第一部「最後の神話の時代」はまさに神話的魅力に満ちた独自の世界で酔えた。ミステリとしての謎解きも用意されているが、それはおまけみたいなもんで、この作品の魅力は謎解き以外の部分にある。日本推理作家協会賞受賞そして直木賞候補の力作です。私個人の好みとしては、母娘の葛藤と女性の鬱屈に焦点が絞られた前作『少女七竃と七人の可愛そうな大人』の方が好きなのだが。
[PR]
by akuto9 | 2007-07-14 22:44 | 意識朦朧書評