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『少女七竈と七人の可愛そうな大人』 桜庭一樹 (角川書店)

傑作!なにかと評価の高い『赤朽葉家の伝説』を読む前にこれも読んどこうかな、と軽い気持ちで手に取ったが、たちまち引き込まれてノンストップで一気読みしてしまった。おおげさかもしれないが「女性について書かれた小説」として、これまで私が読んだ中で最も優れた作品の一つだ。桐野夏生『グロテスク』に似たエグい迫力がある一方で、透明感のある爽やかな読み心地。こういうの書けるって、ほんとすごいなー。『赤朽葉家』も楽しみだ。
以下のセリフにしびれました。
「安心しなさい。少年というものは、思い出になるのだよ」
「女の人生ってのはね、母をゆるす、ゆるさないの長い旅なのさ。ある瞬間は、ゆるせる気がする。ある瞬間は、まだまだゆるせない気がする。大人の女たちは、だいたい、そうさ」
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by akuto9 | 2007-06-30 22:31 | 意識朦朧書評

選挙

選挙が近づいてくると、立候補する(のだろう)人たちの本がポツポツと発売されて、「地元だから」という理由で頼まれて平積みにしたりする。立派な政策が書いてある(のだろう)が、ほとんど関係者しか買わない。いや、関係者すら買ってくれない場合もしばしば。なによりほとんどの場合、表紙が必要以上にやる気マンマンのポーズをとってたり、あんたタレント?的なカメラ目線だったりして、手に取る前に逃げ出したくなるね。選挙協力のために置いてるんじゃないんだから、ちゃんと関係者にうちの店で買うよう伝えてくれ!返品したい…
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by akuto9 | 2007-06-28 22:04 | ふらふら業務日誌

長いことアニメの『アンパンマン』を見ていると、バイキンマンよりもドキンちゃんの方が真の悪者であることに気づく。バイキンマンは、欲望の権化ドキンがみずからの手を汚さないためにあやつる愚かな手駒にすぎない。
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by akuto9 | 2007-06-27 21:20 | 老体育児記

再び橋の上で

通勤途上の橋の上、小学一年生の女の子3人がキャッキャと騒いでいた(ランドセルに黄色のカバーがついていたので一年生だろう)。私が脇を通りかかった時、一人が笑いながら顔の前で手を合わせ、仲間に向かって言った。「神様に悪いことをされませんように!」。神様、信頼されてないっすよ。
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by akuto9 | 2007-06-26 20:18 | 老体育児記

墓場にて

5歳の息子と墓地を散歩していると、「お父さんが死んだら僕とママが埋めるんだよね?」と聞いてきた。「まあそうかな」と答えると「ママが死んだら僕が埋めるんだよね?」と聞いてくる。「そうだね」と答えると彼はとても寂しそうに「じゃあ僕が死んでも誰も埋めてくれない…」とつぶやいた。「大丈夫。君がおじいちゃんになるころには、君の子供や孫がいるからその人たちがちゃんと埋めてくれるよ」と言ってやると、「そうか!」と嬉しそうに笑った。そしてケロっと元気になり別の話題へと移ったが、私はなんだかしんみりしてしまった。
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by akuto9 | 2007-06-25 19:28 | 老体育児記

誰か大人の人

息子と風呂に入っているとき、ふざけて彼の顔にシャワーでお湯をひっかけて遊んでいると、いやがった彼は大きな声で「誰か大人の人、助けてー!」と叫んだ。近隣に聞かれたら誤解を招きかねない表現だが、子供が非常時に叫ぶ言葉としては、なかなか的確なのではないかと思った。
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by akuto9 | 2007-06-24 21:05 | 老体育児記

図書予算

地元の高校が毎年図書予算で一括購入してくれる。図書室の先生と図書委員の生徒数名が選書に訪れるのだが、男子が多いと電撃文庫等のライトノベルばかり、女子が多いとケータイ小説ばかり選んでくる。先生がしっかりしてるとバランスよく高校の図書室に相応しい選書に調整してくれるのだが、選書眼のない先生だと生徒の選んだもの全てOKにしてしまう。ターバン野口やガンダム語録を図書予算(税金!)で買うのはどうかと思う。それはこづかいで買ってくれ!(やたら検閲する先生よりはましなのかもしれないが…)
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by akuto9 | 2007-06-23 21:34 | ふらふら業務日誌

男と男の結婚

朝、駅に向かう途中、橋の上で小学三年生くらいの男子二人が立ち止まって言い争いをしていた。一人はデブっちょ、もう一人はチビっ子で絵に描いたような凸凹コンビ。争いの内容。小「男と男だって結婚できる国があるんだ!」大「そうかもしれないけど、できない国の方が多いんだろ!」小「イタリアはできるんだ!」大(興奮して息切らせながら)「だってお前、イタ、イタリア、イタリアは!」。立ち止まって彼らの論争の行く末を聴き遂げる勇気を持てなかった私を神様どうぞお許し下さい。ところで本当にイタリアではできるのかな?
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by akuto9 | 2007-06-22 22:50 | ふらふら業務日誌

鈍感。

今年上半期の総合第一位は渡辺淳一『鈍感力』(集英社)で現在81万部突破とのこと(広告より)。こりゃ100万部越えるね。だいぶ前から今年の「流行語大賞」候補と言われているが、本当にそうなるかも。なんだかんだいっても渡辺淳一大先生は書店にとってありがたい方です。大ヒットを飛ばし続けるその実績は、他の大御所作家にも見習ってほしいところ。やっぱり売れてなんぼです(←10年前は違う意見だったのだが。あの頃は青かった。もう戻れない…)。
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by akuto9 | 2007-06-21 19:23 | ふらふら業務日誌

『スロウハイツの神様』 辻村深月 (講談社ノベルス)

心地よく感動させてもらった。物語の前に著者がこれは「おとぎ話」だと明言しているが、その通り素敵な現代の大人のおとぎ話である(この断り書きがなかったら、後半の展開に「都合よすぎ」とか文句をつけていた可能性もあるので著者は賢明である)。トキワ荘のごとく、クリエイターとその予備軍たちが住まうスロウハイツ。その核となる小説家チヨダ・コーキ。かつて彼の作品に影響を受けた若者による大量殺人事件が起きた。責任を問われ書けなくなった小説家の魂の復活物語と不幸な過去を背負った少女が創作活動によってまっすぐに生きていく話を軸に、スロウハイツの他の住人たちの成長も綴られる。ミステリ的要素もある青春群像ものであるが、なにより、なかなか素敵な恋愛小説である。
いい作品なのに、残念ながらあまり売れてない。講談社ノベルスという器が、著者には合わなくなってきているような気がする。
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by akuto9 | 2007-06-20 21:28 | 意識朦朧書評