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大晦日の夜に

年中無休なもので、大晦日も夜10時まで営業。さっきようやく店を出て、これから年越し気分……になんかなるわけなし!元旦も普通に営業。季節感もなにもあったもんじゃない。近年、小売業の営業時間延長が顕著だが、働く人間にとってはつらい限り。季節感なく一年がのっぺりとせわしなく過ぎていく。そんな毎日は少しずつ人間の心を蝕んでいくような気がする。伝統的な季節行事は、人間の生活に定期的に区切りを入れて息抜きするために考え出された知恵なのかもしれないなあと感じた。
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by akuto9 | 2005-12-31 22:52 | ふらふら業務日誌

『負け犬の遠吠え』 酒井順子 (講談社)

年末のバラエティ番組を見ていたら、三十代以上の独身女性を指して
「負け犬」という言葉が当たり前に使われている場面が何度かあった。
負け犬論争喧しい時期にこの本の前半だけ読んだときは「なかなか面白いな」
と思ったのだが、今テレビで普通にこの言葉が定着しているのを見てなんとなく
不快な気になり、いま一度この本を読んでみようと思った。
専業主婦と独身キャリアウーマン(死語?)の間に常に存在するらしい
不毛な争いを避けるべく、独身者側が自らを「負け犬」と認めてしまおうでは
ないか、という主旨のことが冒頭に書いてあり、その考えを「面白いな」と
思ったのだった。しかし、その後に続く本書の大半の部分は何なんだ。
負けを認めると言っておきながら、言い訳がましくくどくどくどくど自己弁護が
続く(まあ、「遠吠え」と断ってるんだからしかたないんだけど)。
異常なほど自意識過剰。自分とその友達は知的で仕事もできておしゃれで
恋愛もできるという話が何度も繰り返される。ろくな男が残っていないとか。
くだらないなあ。私の大先輩である独身女性店員は彼女を評して「なんて底の
浅い人生観の持ち主か」と述べていたが同感。次のひどい文章を読んでほしい。

『独身女性が、他にすることが無いから「知的好奇心」という耳触りの良い
言葉を言い訳にして歌舞伎を観るように、既婚女性は他にすることがないから
「愛」「母性」という言葉を頼りに、子供を産む。八十五年という長い人生
の暇を潰すために、人はそれぞれの依存対象を見つけているのであって、
「依存に貴賎なし」と私は言いたい。』

なにが「私は言いたい」だ。アホか。こんな一人よがりで的外れな文章を
堂々と書ける才能には感服するね。元ネタのこの本がくだらないのだから、
テレビでくだらなく言葉が使われてしまうのも当然だな、と納得してしまった。
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by akuto9 | 2005-12-29 22:47 | 意識朦朧書評

仕事帰りに

電車とバスのターミナル駅近くに店があるせいで、夜7時~8時くらいに勤め帰りのお客さんが多くなる。今の時期だと子供のためのプレゼントに絵本を買って帰る人が増える。スーツにコート姿のお父さんが慣れない絵本売場で悩みながら我が子のために絵本を選んでいる光景はなんとも微笑ましいし、12月のこの時期にしかほとんど見られない風物詩でもある。
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by akuto9 | 2005-12-23 11:40 | ふらふら業務日誌

大人気なのに物はなし

この年末の予想外のヒット商品は、ロバート・サブダの仕掛け絵本(発売:大日本絵画)。『不思議の国のアリス』や『オズの魔法使い』等を精巧な仕掛け絵本にしてあり見応えがある。前から出ていたものだが、新聞とTVでの紹介が続いて大ブレイク。プレゼントシーズンということもあり、問い合わせがまさに「殺到」した。しかし出版社にとっても予想外の反響だったようで増刷の体制が整ってなく、注文しても少ししか入らず即売切れ。重版は来年の春から夏になるという(海外生産のためらしい)。今あればいくらでも売れるのだが…。
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by akuto9 | 2005-12-21 19:21 | ふらふら業務日誌

『くうねるところすむところ』 平安寿子 (文藝春秋)

じわじわと人気が上がってきた平安寿子(たいら・あすこ)。気になっていたので今年出た本作を読む。小さな建設会社で奮闘する女性たちを描いた小説なのだが、抜群に面白い!読んだ後に元気がでてくる。仕事・家庭・恋愛のトラブルにてんてこ舞いになりながらも、強く明るい女たち。地味だけど誠実な仕事をする男たち。仕事するってどんなことか、考えさせられる。建設業への不信感が強まっている現在だが、この小説のように誠実に建設の仕事に取り組んでいる人たちもいることを忘れてはならないだろう。
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by akuto9 | 2005-12-14 19:01 | 意識朦朧書評

『グラスホッパー』 伊坂幸太郎

ローリング・ストーンズのブライアン・ジョーンズがいい所で鍵になるのがロック・ファンには嬉しい2004年の長編。登場人物の愛読書が『罪と罰』というのもドストエフスキー・ファンには嬉しい。密集した所で暮らすバッタの中から強暴な個体が出現するという、タイトルが示すエピソードは、本作のみならず伊坂作品全般に通底するテーマを物語っていると思う。ミステリーとして読んで楽しむのもいいし、神なき現代日本における『罪と罰』、と難しく考えてみるのもいい。いずれにしても読んで損のない秀作だ。
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by akuto9 | 2005-12-12 12:36 | 意識朦朧書評

おならメカ

毎年の恒例行事となった年末の『かいけつゾロリ』シリーズ新刊の発売。いつも初回分は楽しい付録がつくのだが、今年の付録はなんと『おならメカ』!ボタンを押すと5種類ものおなら音が楽しめ、しかもランダムに鳴るので次のおならを当てるゲームもできるのだ!素晴らしい。さすが原ゆたかさん。こどものツボを見事に押さえてます。『ゾロリ』シリーズは「本」という形式ならではの仕掛けにあふれていて、ひたすら子供たちを楽しますためのサービス精神で作られている。売れて当然。アニメ化もされているが、やっぱり本でなくては。
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by akuto9 | 2005-12-11 14:36 | ふらふら業務日誌

表紙が…

今ノリにノッてる伊坂幸太郎、久々の書き下ろし長編『砂漠』(実業之日本社)が入荷!ファンだけでなく全国の書店員からも熱い期待を受けて登場!楽しみに新刊の箱を開けてみると……。こ、この表紙って……一同唖然。絵を描いた方には本当に申し訳ないが、この表紙では売れ行きにマイナスに影響すること間違いない。小説を読めば納得できる絵なのかもしれないが、まず買ってもらう段階で大きな障害になるだろう。ファン以外の人に買ってもらうためには表紙はとても重要な要素なのだ。売れる条件は揃っている新刊だけに、なんとも惜しい。
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by akuto9 | 2005-12-10 14:42 | ふらふら業務日誌

取材

地元の新聞社から、「書店員がすすめる年末に読みたい本」という記事の取材を受ける。記者の方も本好きで話が盛り上がったのだが、新聞に掲載される記事の事前のチェックはできないという。夕刊の小さな記事なので仕方ないのかもしれないが、こっちも実名と実年齢を誌上に曝すのだから、内容には責任がある(しかし何故年齢が必要なんだか)。書評には人格がもろに表れるから、自分の喋ったことを誤解または曲解して書かれるとちょっと困る。こんなことなら面倒でも自分で文章を書いたほうがよっぽど気が楽だ。
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by akuto9 | 2005-12-09 13:58 | ふらふら業務日誌

『ベルカ、吠えないのか?』 古川日出男 (文藝春秋)

うーん、すごい。犬たちを軸に語られる現代世界史。犬が主役だが、ありがちな生ぬるいワンちゃん小説とは全く違う。生まれ、生き、繁殖し、死ぬ。数え切れないほどの登場人物ならぬ登場犬たちが、人間の歴史と関わり世界的規模で活躍し、次の世代に命を繋ぎ死んでゆく。犬小説という突拍子もない設定を力わざで完成させ、新しい世界史を提示することに成功した著者の実力は驚嘆すべきもの。こんなとんでもない作品は誰も真似できない、唯一無二のもの。小説でしか表現できない世界を存分に楽しめた。すごい。
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by akuto9 | 2005-12-08 19:30 | 意識朦朧書評