幻冬舎『ポンツーン』連載の「ミステリーの書き方」が面白い。毎回別の作家が自分流の創作の秘密を教えてくれるのだが、7月号は赤川次郎氏。今回も面白かったが、記事はインタビューとだいぶ前に出た本書をまとめたものだということなので早速読んでみる。前半は創作とミステリについての軽いエッセイ。後半は過去の自分の短篇に脚注をつけて解説をしていて、これが面白い。例えば、
「この時点では、まだ謎も考え出していない」
「こういう囮を使った作戦は、大体苦し紛れに使うことが多い」
「短編の中で人間関係を説明するには、こういう警官の口から語らせるのが楽だ。それに、あくまで「警官の考え」だから、後で食い違いが出ても、矛盾にならない」
「この文章、伏線のつもりで、後から加えたものである」
「どの登場人物にも少し怪しいところを持たせておくと、解決のとき楽である」など。
(締め切りに追われ?)書きながら考えていく過程が垣間見れてとても面白い。欲を言えば、脚注が少ないので、もっとたくさんの例を読みたかった。