人気ブログランキング | 話題のタグを見る

若者に説教

勤務歴半年のバイト君に本の注文を頼んだところ、
「この出版社、僕聞いたことないんですけど、ほんとにあるんですかね?」とおっしゃる。
彼は自分の持っている情報だけで判断する傾向があるので
「俺なんか10年以上本屋やってても知らない出版社なんて山ほどあるんだ。自分が知らなくても存在するものなんて世の中にはいくらでもあるんだぞ」と説教した。
「知らない」ということをエラソーに説教するのも変なもんだが、あらためて取次注文用の出版社名簿を見てみると、知らない出版社が本当にたくさんある。おそらく、死ぬまで本屋を続けても、一回もお世話にならなかったり名前も知らずに終わってしまう出版社はたくさんあるだろう。狭い日本の狭い業界のはずなんだけど、狭いなりに奥が深い。そこが出版業界の面白いところでもある。
で、冒頭のバイト君はまだ20歳なのだが、ネットで情報を素早く収集する能力には長けている。が、その情報を無防備に信用してしまい、そこに自分の考察がないのでしばしばミスを犯す。世の中はネット情報だけできれいに掬い取れるものではなく、もっと複雑で混沌としていてアナログなものなんだということを教えるのも年寄りの務めだろうと、あえて説教するようにしてるのだが。
ネット限定商品を店頭で問い合わせてくるお客さんを見て「ネットで買えばいいのに」とつぶやく彼に、「世の中には、ネットで買い物をしたことのない(したくない)人がたくさんいるんだぞ」と教えた時、本気で驚いていた彼の表情が印象に残っている。
by akuto9 | 2007-04-25 12:26 | ふらふら業務日誌


<< ヤスケン しょこれみかんぬ >>