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『夢を与える』(続)

少女タレントの栄光と挫折と成長、という物語には、誰しも、アイドルにさせられた著者自身のイメージを重ねてしまうだろう。しかし著者はおそらくそのことも織り込み済みで、『蹴りたい背中』でも垣間見られた意地悪で冷徹な目を自分自身に向け、客観的に解剖しているように見える。その自虐的ともいえる皮肉な視線には背筋が寒くなる思いがする。『夢を与える』という面白みのないタイトルに痛烈な皮肉がこめられていることも、読んだ人にはわかる。著者は自らの稀有で異常な体験を通して、まさにその体験なくしては書けない物語を(続)
by akuto9 | 2007-01-24 15:01 | 意識朦朧書評


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