一般に「隠れキリシタン」と聞くと、厳しい禁教下でカトリックの教えを必死に守りぬいた人達、というイメージを持つ人が多いかと思う。だが実際は、隠れて信仰を伝承してきたことは事実でもその信仰の内容はキリスト教とは大きくかけ離れたものだった。聖母やイエスや神という最重要概念さえも理解されてなく、祈りの言葉は中身のない呪文として伝えられ、神仏信仰と混じった民俗宗教の様相を呈す。このことは「カクレキリシタン」のカトリックからの堕落を示すものではない。新しい宗教・信仰が発生する過程を見事に表していると言える。