少年時代に読みそびれたままだったので手に取ってみる。原題は「2年の休暇」という感じで、最初から遭難生活が2年間で終わることが仄めかされている。なので『十五少年漂流記』は最初の訳者(英語からの重訳なのだが)による意訳邦題なんだけど、こっちの方が冒険っぽい感じでワクワクしていいなあ。この辺りの翻訳事情には色々あって、波多野氏による解説が大変興味深く面白い。
読む前の勝手なイメージでは、ヨーロッパを出発した船が難破して南国の無人島に漂着する、というものだったが、実際はニュージーランドのオークランドの港から流されたのだった。漂着先も、南は南でも南米大陸の南端付近で、ペンギンがたくさん出てきたりして驚いた。やっぱりちゃんと読んでみないとわからないものだ。 十五少年の内訳は、主人公格のブリアンとジャックの兄弟がフランス人、最年長の人格者ゴードンがアメリカ人で、それ以外がイギリス人だ。この物語は日本では大人気だが、英米ではあまり売れなかったとのことで、その理由は、大活躍するブリアンがフランス人だからということらしい。日本人にとってはイギリス人もフランス人も「外人さん」として同じようなものだがらこだわりがないが、欧米人にとっては国同士の微妙な感情とかがあるのだろう。 物語はエンターテインメントとして大人が読んでも抜群の面白さ。仲間割れやら大人の悪党やらにハラハラさせられるし、後半まで伏せられている、ジャックの抱えた秘密が物語に緊張感を持続させていていい。なんか素直に、この少年たちのように勇気と希望を持った行動力を持った人になりたいなあ、なんて柄にもないことを思ったりしたのだった。いつも思うことだが、少年時代に読んでおけばよかった。
by akuto9
| 2011-09-05 10:10
| 意識朦朧書評
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