『ラットマン』道尾秀介/光文社

(ネタバレじゃないと思うけど気になる方は読まないで下さい)。「ラットマン」は同じ絵なのに動物の絵の中にあると鼠に見え、人物の絵の中にあるとおじさんに見えてしまうという人間の認識錯誤のことで、この言葉が物語の肝をずばり表している。一言で言えば「思い込み」ということだが、一つの事件が複数の人物によってどのように思い込まれていたのか、それが明らかになる物語の後半部、真相が二転三転していくあたりはとてもスリリングでミステリの醍醐味を味わえる。静かで淡々とした雰囲気もいい。道尾氏の長編を読むのは初めてだったが、これは他の作品もぜひ読んでみたくなる。今年もっともっと売れていきそうな作家の一人だ。
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by akuto9 | 2009-03-15 20:01 | 意識朦朧書評


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