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『ジョーカー・ゲーム』柳広司

スパイ小説は苦手だと思い込んでいたけど、これはめちゃくちゃ面白かった。戦時中のスパイ養成学校のメンバーが出る短篇集で、それぞれが独立した話なので出来のいいミステリをたくさん読んだような充実感。スパイという仕事の孤独さが理解できる一方で、当のスパイ本人達は淡々と任務をゲームのようにこなしているため、彼等の孤独に感情移入して読むことはない。そのクールな距離感がこの作品の一番の魅力ではないか。「何かにとらわれて生きることは容易だ。だが、それは自分の目で世界を見る責任を放棄することだ」という言葉に共感。
by akuto9 | 2009-02-09 13:29 | 意識朦朧書評


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