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『つばめの来る日』橋本治

角川書店。橋本治の仕事といえば古典の現代語訳と評論が目立つので「普通の小説家」としての存在はやや影が薄いように思う。この短編集は1999年に出されたものだが、とても良い。世間の価値観からずれた男(少年)の孤独と成長を、静かに、見守るような視点で書いていて、読後感が心地良い。橋本氏はこの後『蝶のゆくえ』で柴田練三郎賞を受賞することになるが、意外なことに小説での文学賞受賞はそれが初めてとなる(デビュー作『桃尻娘』は小説現代新人賞佳作)。『その後の仁義なき桃尻娘』は私の小説観を大きく変えた一冊だ。
by akuto9 | 2007-04-29 16:54 | 意識朦朧書評


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